新労働時間制度で残業代制度廃止?「成果で報酬」に経営側と労働側が対立

働いた時間ではなく成果に応じて報酬を決める新たな労働時間制度を巡る議論が、来年春の通常国会への法案の提出に向けて本格化しています。10日、厚生労働省の審議会で制度の創設を求める経営側と反対する労働側が真っ向からぶつかりました。

新たな労働時間制度では、原則として残業代が支払われなくなる一方、成果によって報酬が決まるため柔軟な働き方ができ、労働生産性が上がるとされています。

10日開かれた厚生労働省の審議会では、経営側の委員が「働き方は多様化しており、労働者が働き方を選択できるようにすべきで、国の競争力強化にもつながる」と制度の創設を求めたのに対し、労働側の委員は「過労死で亡くなる人が毎年100人を超えるなかで、まずは長時間労働の対策を議論すべきだ」として反対する姿勢を示しました。

この制度については、年収が少なくとも1000万円以上で、高い職業能力を持つ労働者を対象に導入する方針が示されていて、厚生労働省は来年春の通常国会に関連する法律の改正案を提出することを目指しています。

労使の意見が対立するなか、審議会では今後、対象となる年収などの条件のほか、長時間労働を防ぐ対策をどう盛り込むのかが議論の焦点となる見通しです。

企業は期待

新たな労働時間制度に期待する企業もあります。

機械部品大手の「日本精工」は、リーマンショックで業績が一時的に悪化した6年前から社内で研修を開くなど、残業を減らし、業務を効率化する取り組みを進めています。社員の中には一つ一つの仕事にどのくらいの時間がかかっているのかストップウオッチで測る人も出てきました。しかし、今でも残業が1人当たり月に30時間に上る部署もあり、残業を減らすのは難しいのが実情です。

会社は、制度が導入できれば社員の意識が変わり、限られた時間でより効率的に仕事をするようになると考えています。この会社の池田新人事部長は「長時間労働という文化がベースにあるなかで意識的、あるいは無意識的に昼間だらだらしている部分があると思う。単純に仕事を減らしましょう、効率的にしましょうと言っても社員はなかなかその気にならないので、業務が本当に効率的なのかそこにメスを入れるべきだと思っている」と話していました。

労働者は不安視

労働者の側からは「残業代がなくなれば、長時間労働が助長される」と不安視する声が上がっています。

自動車部品の販売会社で働いていた神奈川県の40代の男性は5年前、管理職に昇進し、営業所の責任者になったとたん、仕事の量が倍以上に増えたと言います。早朝から深夜1時、2時まで仕事をする日々が続き、男性は管理職になっておよそ1年後、うつ病になり、退職しました。

男性は「睡眠時間は2、3時間取れればいいほうという、そんな状況でした。仕事をこなすだけで精いっぱいで自分で仕事の量を調節できる状態ではなかった」と話します。
労働基準監督署が認めた男性の残業時間は最大で月に300時間。しかし、会社側は男性が管理職だったことを理由に「自分の裁量で労働時間を決められた」として残業代を支払いませんでした。

男性は、新しい労働時間制度について、「仕事の量が増えるだけでそれに見合った残業代はもらえないということになると思う。社員個人により大きな負担がかかるのでは」と話しています。

提供:NHKニュース

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