日本の人材紹介市場の問題点と新たな潮流とは?

現在の日本における人材紹介市場は、「“今”転職したい人」と「“今”人材が欲しい会社」のマッチングが大量に行われている点に特徴があります。インターネットの発達によって膨大なデータが瞬時に流通するようになり、それが可能になったのです。

素早く簡単にマッチングができるのは良いのですが、大きな弊害ももたらしています。表面的な企業情報と候補者情報だけでマッチングを行うため、企業も候補者もお互いをよく知らないまま転職が成立し、結果としてうまくいかないケースが少なくないのです。

転職したい気持ちはそれほどないまま気軽に転職サイトに登録したところ、オファーメールが大量に送られてきたのでその気になって話を聞きに行き、誘われるまま大した考えもなく転職してみたら失敗だった……。そんな不幸な転職例が珍しくありません。

このような問題が起きる要因の一つに、日本の人材紹介市場ではエグゼクティブレベルとスタッフレベルの扱いが一緒にされている点があります。

欧米のエグゼクティブサーチとの違い

欧米、特に米国の人材紹介サービスは、エグゼクティブ層を扱う「エグゼクティブサーチ」と「スタッフィングサービス」の2つに分かれています。前者は年収の35%相当の前金をもらい、丁寧にコンサルティングをした上で、その企業が必要とするポジションにふさわしい人をしっかり選んで紹介します。

一方スタッフィングサービスは、企業や候補者に対する理解に手間ひまをかけず、企業情報と候補者情報をマッチングして終わりです。ただしフィー(費用)は成功報酬で年収のおよそ10%から20%程度にとどまります。

つまり、エグゼクティブサーチは一種のコンサルティングフローになっているのに対し、スタッフィングサービスは情報と情報のマッチングにとどまり、料金体系もそれぞれに合ったものになっています。

ところが、この2つのサービスが日本では一緒くたにされています。企業情報と候補者情報のマッチングしか行わず、企業とも候補者とも直接会わず、電話だけで面談を済ますようなサービス提供で年収の30%や35%というフィーを取っている人材紹介会社もあります。新たに参入し乱暴な仕事をする会社が出ることに、私たちのようなヘッドハンター系の人材紹介会社は危機感を持っています。

企業の求めるものと候補者の求めるものが非常に明確なスタッフのポジションであれば、企業情報と候補者情報のマッチングだけでよいかもしれません。しかしある程度以上の経験者や管理職、経営者のマッチングでそんなやり方をしたら、失敗の確率を高めるだけです。

「お抱えヘッドハンター」を持ちやすい状況に

こうした人材紹介業界の問題点はだんだん認識されるようになり、最近、大手情報企業が「かかりつけヘッドハンターの紹介サービス」をスタートしました。長期的な視点からキャリア形成を支援してくれる、自分に合ったヘッドハンターをビジネスパーソンが見つけられるというものです。

つまり、短期的な視点で企業情報と候補者情報のマッチングを行うような人材紹介とは対照的な方向のサービスです。本連載では以前から「お抱えヘッドハンター」を持ちましょうとお勧めしてきました。あらためて説明すると、「定期的に付き合いを続ける中で自分の志向性やジャストフィットする領域を理解してもらい、長期的 なキャリア設計の支援や精度の高いマッチングを提供してくれるヘッドハンター」を指しています。

企業からみると、そう簡単には候補者が見つからない自社の重要ポジションを任せられる人材を連れて来てくれる存在ですが、「かかりつけヘッドハンターの紹介サービス」の登場を見ても、そうしたサービスが求められる潮流が強まりつつあるといえます。

一方、従来はあまり群れることのなかったヘッドハンターの側も、そうした潮流が強まる中で横のつながりが生まれるようになり、ヘッドハンターのネットワークを生かした案件紹介も行われるようになってきました。

このような人材紹介市場の動向を見ていくと、ビジネスパーソンがお抱えヘッドハンターを持ち、活用しやすい状況が広がりつつあるといえます。ひと昔前のように会社に頼るのではなく、一人一人が主体的に長期的なキャリア設計を考えなければいけない時代には、こうした状況を生かさない手はありません。

提供:http://www.atmarkit.co.jp/

無料転職求人サービス

  • DODA(デューダ)の無料転職支援サービス
  • ハタラクティブの無料転職支援サービス
  • ヒューマンタッチの無料転職支援サービス
  • リクルートエージェントの無料転職支援サービス
ページトップ