内々定が出ている学生をも引き抜く!激しくなる企業の人材争奪戦!
優秀な人材をめぐって企業間で争奪戦が激しくなっている。ニュースキャスターの国谷裕子は「学生の売り手市場といわれる就職市場ですが、企業は成長を支える人材の発見に必死です。でも、バブル崩壊やリーマンショックによって、大規模なリストラや採用の抑制などを余儀なくされてきました。景気が回復基調とされるいま、人材確保や育成などが大きな課題に直面しています」と報告する。
インターシップ大きく変えた「みずほフィナンシャルグループ」
ベンチャー企業「Sansan」は取引先の名刺の情報を社内で共有するシステムを手がけていて、即戦力となるエンジニア5人を採用したいと考えているが、確保できていない。そこで、内々定の出ている学生を引き抜くサイトを利用している。人事担当者は「欲しい人材が自前で確保できないのであれば、こうしたサイトに頼るのもやむを得ないと考えています」と語る。
みずほフィナンシャルグループは6年後の東京オリンピック・パラリンピックを見据えて不動産ビジネスに力を入れている。成長戦略の柱に掲げ、業績拡大に繋げたいとしている。
国谷「大学3年生に職業を体験してもらうインターンシップの内容を大きく変えました。この夏には18人に絞って不動産ビジネスを実践的に学んもらうため、学生たちは取引先が本社ビルを建て替えるという設定で、再開発の計画を作成し、社長役が本番さながらに厳しくチェックするという内容に変更しました」
ゲーム配信で急成長しているDeNA(ディーエヌエー)は、遺伝子検査ビジネスなど新規事業を次々と立ち上げている。しかし、南場智子取締役はこんな危機感を持っている。「会社が大きくなるにつれ、応募学生も増え本当に必要な人材を見極めるのが難しくなっています。正解を言い当てるとか、常識を言い当てるとかいうことにはあまり価値がなくて、常識の外の発想をする人材に新しい事業の可能性や発展の可能性があります」
成果主義の弊害―目先の利潤しか追えない社員・組織
国谷「なぜ日本を代表する企業がここまで人材難に追い込まれているのでしょうか」
横浜国立大の服部泰宏准教授はこう解説する。「経営戦略を実践するのも組織力を高めるのも人材です。しかし、バブル崩壊やその後のリーマンショックによって、企業は人材をコストと捉える傾向を強めました。大幅なリストラを断行し、新規採用を控えて非正規雇用の活用を広めて導入したのが成果主義です。
意思決定のスピードを早めるため、人事の評価や組織のあり方を大きく変化させましたが、新規ビジネスをめざしたりグローバル化への対応を急ごうとしている企業にはそれでは間に合わなくなっているのです」
もともと、成果主義は人材を使い潰すだけで、新しい発想が評価されないと批判されていた。その行きついた先がブラック企業で、「人が財産」という日本の経営文化を捨ててしまった企業が人材難に陥っているということだろう。
提供:NHKクローズアップ現代
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