会員制転職サイト運営するビズリーチの社内イベントが離職率を抑える
成長企業に欠かせない「楽しいイベント」
僕の父は、高度成長期に世界に向けて大きく成長した日系大手メーカーのサラリーマンでした。父の会社では、社内のコミュニケーションを促進するため、お祭りやクリスマスパーティ、バーベキューなどのイベントがたくさん行われていました。社員だけではなく、その家族も集まります。
あらためて父に聞いてみると、今では時代の流れなのか、会社の中心メンバーが若くなったからなのか、そういったイベントは少なくなったようです。今、振り返ると、当時、子どもだった僕は、父の会社のイベントを通じて、父や会社に対してよいイメージを持つことができました。
こうしたイベントは、特に成長企業にとっては大切な要素ではないでしょうか。全員が一丸となり、自分たちはどんどん成長していくんだ!という意識をひとつにするために、とても有効な手段だと思うのです。
かくいうビズリーチは、たくさんのイベントを企画しています。2013年6月には、同じ時期に創業した、僕と同じ楽天イーグルス出身の岸田祐介社長が率いるスターフェスティバルと合同で運動会を行いました。やはり運動会は、競争があってこそ。大の大人が200人以上参加して皆が真剣勝負で盛り上がり、両社の参加者から「参加する前は、運動会?と思ったけれど、参加してみたら、童心に返れて楽しかった」などの感想を聞きました。
公式行事としては、半期に1度のキックオフ合宿をキャンプ場や温泉宿で行っています。会議室で期末の反省と次期の成長戦略について話し合った後、後半はバーベキューとキャンプファイヤー、一緒に温泉に入り、浴衣姿で盛り上がるなど、社員全員で楽しめるような仕掛けを考え、実行しています。
バーベキューでは、ただ楽しむだけではなく、チームでのコミュニケーションを促すためにチーム対抗で料理対決をします。1チーム当たり、部署横断10人で構成し、予算1万円以内、90分以内においしいカレーを20人分作り、全員で試食します。最もおいしかったカレーに投票して、上位チームが表彰されるというルールです。
たかがカレーのために、そんなことをするのか?と思われるかもしれませんが、これが面白いのです。「どうせやるなら勝ちたい」というのが人の心理。90分という制限時間内に、火を起こして、20人分の調理をすべて終了するのは大変なこと。どのチームも1カ月前から、ランチタイムなどに「カレー会議」を開き、どんなコンセプトで何カレーを作るか、どんな段取りで誰が何をするのかを話し合っていました。
当日もワイワイ楽しみながら調理し、一致団結。「Aさんが、あれほどリーダシップがあるとは知らなかった」など、部署横断のチームながらチーム力が高まり、お互いの理解が深まったようです。
学校と会社は似ている
なぜビズリーチが社内イベントの企画に、こんなにも一生懸命になっているか??それは、「会社を学校のように運営しよう」と考えているからです。思い出してみてください。学生時代のことというと、机の前に座って授業を聞いていたことよりも、文化祭や修学旅行、部活や放課後のおしゃべりなどの楽しい思い出ばかりよみがえってきませんか??学生の本業は勉強ですが、思い出として残っているのは本業以外のイベントや仲間のことばかり。でも、それが普通ですよね。
僕は、日本、カナダ、アメリカの3カ国で学生時代を送ってきましたが、学校はどの国も似たような制度設計になっています。授業以外にどの国でもイベントやクラブ活動があり、学校は社会人になるための練習として位置づけられています。
そこで、会社も学校のように運営すればいいのではないかと考えました。学校が社会人になるための練習の場なら、学校でやってきたことは、社会人となった今でも生かせるはず。だったら運動会も球技大会もアリなのではないか?
もちろん、会社が存在していくためには、本業で結果を出すことが何よりも大切です。また、社員にとっては、何のために働いているのか?と問われたとき、答えは人によってバラバラかもしれません。
とはいえ、結果を残すことと同じくらい大切なこととして、社員がその職場で働くことが楽しいかどうかが重要です。人生の中で多くの時間を過ごす仕事だからこそ、ワクワク感が大切。父の話を聞いていると、古き良き日本の大企業は、成長期に社員同士がワクワクするイベントを開催して、一致団結させる場にしていたのではないかと思います。これこそが、僕が目指していることなのです。
皆が楽しめるイベントを企画することは、採用や人事の面から考えても大切です。皆で一緒に思い出を作るという思いや行動は、事業を作ることと似ています。同じ方向を向いて楽しむ。そして、それは本業にも必ず生きます。
楽しい企画なら、老若男女が参加する
最近の人たちは、会社主催のイベントや飲み会などには参加したくないという人が多いと耳にします。確かに、つまらなくて面倒な飲み会には、僕だって参加したくありません。そこは企画力次第。皆が参加したくなるような楽しいものなら、参加するはずです。
僕が社会人としての第一歩を踏み出したのは、外資系金融機関のモルガン・スタンレー証券でした。外資系の会社は社内イベントに積極的ではないようなイメージがあると思いますが、実はそうではありません。都内から少し離れた環境に出かけて合宿をしたり、会議をしたりという試みは、多くの企業でかなり頻繁に行われています。また、クリスマスパーティなどのイベントも盛大に開いています。
そんなモルガン・スタンレー時代、僕は部署の仲間と一緒にスキー旅行を企画しました。その旅行に参加してくれたのは、若い人ばかりではありません。役員数名と共に、当時の会長までも参加してくれたのです。上の人たちは若い人たちと話してみたいし、若い人だって偉い人と直接、話をするチャンスなど滅多にありませんから、会長の参加を皆、喜んでいました。
離職率の低さの裏にイベントあり
皆が参加したくなるようなイベントを企画すれば、社員は楽しんでくれる。そのウワサを聞きつけた社外の人が、「なんだかビズリーチって面白そうな会社だな」と興味を持ってくれれば、採用に不可欠な集客やファン作りにもつながります。
イベントの開催は、社員の離職率を抑える効果も出ています。ビズリーチの離職率は、このところ1ケタ台のパーセンテージで推移しています。これはベンチャーとしては非常に低い数字です。
ちなみにこうしたイベントは、公式行事を除き、自由参加です。家庭を優先したいという人が参加を強要されることはありません。それでも多くの社員が参加してくれているということは、イベントそのものに魅力があるからだと自負しています。
社内外を巻き込む楽しいコミュニティが増殖中
最近は、ビズリーチ社内でいろいろな部活が生まれています。フットサルやボルダリングなど、有志が主体的にコミュニティを作り、違う部署や社外の人と交流しています。
僕としては、次々とコミュニティが生まれることは歓迎すべきこと。最近では楽しいコミュニティに社外の人たちも参加して、結果的にリクルーティングになっていたという事例は、願ってもない姿でした。
ビズリーチは、「Work Hard, Play Super Hard」(仕事も遊びも本気)という精神を大切にしています。たくさんのイベントを通じて社内外の交流を活性化し、社員をはじめ、多くの人に「ビズリーチっていい感じだね」と言っていただけるような雰囲気を作っていきたいと考えています。
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