障がい者も貴重な人材。就職活動もノーマライゼーション社会へ。
景気回復と人手不足を背景に、労働市場が活気づいている。厚生労働省によると、6月の有効求人倍率は1.10倍で、1992年6月以来22年ぶりの高水準となっている。新卒の就職状況も回復し、高卒の就職率は98.2%でバブル期並みだという。
そんな状況のなか、障がい者の就職状況も順調に上向いているようだ。厚労省によると、2013年度に全国のハローワークを通じて就職した障がい者は、7万7883人(前年度比14%増)で、4年連続で過去最高を更新した。また、就職率も45.9%と、4年連続で上昇したという。
このような数字だけを見ていると、誰もが普通に暮らせる「ノーマライゼーション社会」に近づいているようにも思える。障がい者の労働問題に取り組む弁護士の目に現状はどう映っているのか、「働く障がい者の弁護団」代表をつとめる清水建夫弁護士に聞いた。
ノーマライゼーション社会に一歩近づいた
「一般労働市場で働く障がい者が増えているのは事実です。とてもよい傾向だと思います。障がい者向けには、『福祉的就労』という制度がありますが、これは労働ではなく福祉とされているため、働いても月額1万円位の工賃しかもらえません。
これに対して、企業で働く場合には労働法規の適用がありますし、賃金も最低賃金が保障されます。その意味では、ノーマライゼーション社会に一歩近づいていると言えます」
展望は明るいとみて、よいのだろうか。
「いえ、手放しに喜べる状況ではありません。というのも、障がい者の雇用は、ほとんどが3カ月や6カ月の有期契約で、非正規雇用が圧倒的に多いからです。
障害のない人よりも、『低い労働条件でがまんさせられている』というのが現状です。ノーマライゼーションが完全に実現したとは到底言えません」
今の傾向をもっと伸ばしていくべき
「一方で、精神障がい者の雇用が急速に増えていることは、大変喜ばしいことです。
もともと『精神障がい者』という用語自体、私は差別用語だと思っています。精神障がい者と言われている方のほとんどは、生活管理や服薬管理がされていれば、障害のない労働者とほとんど変わりがない働きができます。そのため、採用経験のある企業は、今後も精神障がい者を採用したいと前向きです。
これまでは、精神障がい者と言われている方で働き盛りの年代の人の70人に1人しか、働けていませんでした。今の傾向をもっと伸ばしていくべきだと思います」
清水弁護士はこのように期待を込めていた。
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