社員のストレスチェックが義務化に。ブラック企業撲滅に繋がるか?

企業のメンタルヘルス対策の一環として、過剰なストレスを抱える社員を早期に発見するための「ストレスチェック」が、社員50人以上の会社で来年12月から義務化される。社員自身がメンタル不調に陥っていないかを自己点検するものだが、過剰な負担があった場合、会社は労働時間短縮などの措置を取らなければならない。

しかし、せっかくの検査で社員自身が抱える負担を把握できても、本人の同意なしに結果が会社に開示されることはない。社員は自身のメンタル不調を会社に知ってもらった方がよいのか。また、会社は従業員のメンタル不調をどこまで把握すべきなのか。厚生労働省の検討会で制度の運用をめぐり議論が進む。

社員のストレスチェックが義務化に。ブラック企業撲滅に繋がるか?

来年12月から義務付けられるストレスチェック。質問項目の作成のために現在、参考にされているのが、企業でよく使われている「職業性ストレス簡易調査票」だ

契約社員やパートも

ストレスチェック制度は今年6月の通常国会で成立した改正労働安全衛生法で義務づけられた。来年12月以降、社員50人以上の会社は、医師や保健師が心理的な負担を把握するための検査(ストレスチェック)を実施しなければならない。社員以外にも1年以上雇用が見込まれるなど一定の条件を満たした契約社員やパートなども対象となる。社員が50人未満の会社では当面、努力義務となっている。

ストレスチェックの項目は現在、検討会で議論されているが、「疲れている」「憂鬱だ」「何もする気が起きない」など、心理状態を把握する質問になるとみられている。年1回はチェックが行われることになっているが、社員と会社双方に結果が知らされる健康診断と異なり、ストレスチェックの結果は社員にしか知らされない。

ストレスチェックでストレスが高いとされた社員は会社に申し出て、医師による面接指導を受けることができる。面接指導は会社が指定する産業医が行うのか、別の医師が行うのかは決まっていない。

面接を希望するためには会社に申し出ないといけないが、会社は面接指導を希望した社員に不利益な扱いをしてはならないことになっている。

また、面接の結果、労働時間の短縮や仕事内容の転換などが必要とされれば、こうした措置も講じなければならないことになっている。厚労省の担当者は「社員自身が自分のストレスについて早期に把握することは、健康で快適に働いてもらうことにつながる」と説明する。

何のための検査?

しかし、この制度には課題も多い。

まず第一に、50人以上の会社では社員がストレスチェックを受けるのが義務となっているにも関わらず、その結果が会社に開示されないため、会社側は社員の中の誰が検査を受けたか把握できない可能性がある。検査結果は開示されなくても、社員が検査を受けたかどうかは分かるシステムづくりが求められる。

次に、ストレスチェックでストレスが高いとされても、本人が面接指導を望まなければ放置されてしまう点も問題だ。面接を申し出たことで不利益な扱いをしてはならないとなっていても、会社に知られることや異動の対象となることを恐れて面接の申し出をためらう社員も多いだろう。

過労死や労働災害などの問題に取り組む「働くもののいのちと健康を守る全国センター」(東京都文京区)は、「検査や面接の結果、表面上は他の理由をつけて契約を打ち切られる恐れがある」と会社側が制度を“悪用”して社員を使い捨てにすることを危惧する。

ストレスの原因はさまざまで、会社の仕事や人間関係に由来するものもあれば、家庭やプライベートが原因のものもある。ストレスの原因が過剰な仕事量などであれば会社は労働環境を改善すべきだが、社員が同意しなければ会社にはメンタル不調を起こすほどの現場の過酷さは伝わらない。厚労省の担当者は「社員の名前は分からないようにして結果だけは開示し、集団としてその職場のストレス具合が分析できるような運用方法を検討している」と話す。

労働環境の厳しさから過労死や自殺に追い込まれたり、鬱病などのメンタル不調になる従業員は増えている。厚労省の調査では、メンタル不調で1カ月以上休んだり退職したりした社員がいる会社の割合は、平成25年は10%で、19年の7・6%と比べると増加傾向だ。一方、社員が職場でストレスを感じる要因として最も多いのは「仕事の質・量の問題」だった。

厚労省の検討会は今年12月をめどに、ストレスチェックや面接指導の実施方法、社員が不利益な取り扱いを受けない方法などをまとめる。社員と会社の双方にとって使い勝手のよい制度になるかどうか、検討会の議論を見守る必要がある。

提供:http://www.itmedia.co.jp/news/

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