高齢者が高齢者を支える現場。福井市シルバー人材センターの活動

60歳以上で構成する福井県内のシルバー人材センターでは、社会奉仕の代行や電球の取り換え、お墓掃除など高齢者からの細かな依頼があり、高齢者が高齢者を支える現場が増えている。ただ高齢者の中にも将来の生計に不安を抱え、企業での常用勤務を望む人が増えており、センターの会員数は4年連続減少。少子高齢化による人口減社会では、シルバー世代が活躍するためにどう受け皿を整備するかが課題となっている。

福井市シルバー人材センターのデイサービス施設で習字を習う高齢者たち=8月、福井市大宮2丁目

福井市シルバー人材センターのデイサービス施設で習字を習う高齢者たち=8月、福井市大宮2丁目

自治活動代行

「社会奉仕や町内の夜回りに出てほしい」。福井市シルバー人材センターには、一人暮らしの高齢者から、自治会活動の代行のような要望がある。妻を亡くしたばかりの高齢者からは「家のどこに何があるのか分からない。整理を手伝って」、お盆の時期が近づくと「お墓掃除をお願いしたい」―。最近は、ごみ出しの依頼も増えている。

こうした事情を踏まえ、同センターは、高齢者の細かいニーズに対応する「ワンコインサービス(500円)」の実施を検討。県シルバー人材センター連合の大西重雄常務理事(67)は「高齢者の依頼に高齢者がこたえる場面は、今後増える」と見通す。

社会との接点

福井市大宮2丁目の空き家を利用した「ひだまりの家」。全国で初めて、シルバー人材センターが運営するデイサービス施設として、今年11年目を迎えた。77歳~93歳の約30人の利用者を、看護師やヘルパーの資格を持った60歳以上の会員が支える。

看護師の資格を持つ山脇和子さん(71)は週に1、2回、利用者の健康チェックなどを行う。オープン時から勤めている山脇さんは「このペースだから続けられた。お金というより、社会との接点を持ち続けていたい」と話す。

施設管理者の片桐真由美さん(47)は「介護する側、される側ともに高齢者同士で話が合い、気持ちも分かり合える」とメリットを挙げる。

会員数は減少

団塊の世代は年齢でみると既にシルバー人材センターの会員対象に達しているが、会員は増えていないのが現状だ。2013年度の県内の会員数は4年連続で減少し8917人と、13年ぶりに9千人を割り込んだ。

背景には、定年後も働き口を確保する国の取り組みがある。13年4月に施行された改正高年齢者雇用安定法では、企業は原則、希望者を65歳まで雇用することが義務付けられた。

センターの県内会員の1カ月当たりの平均収入は3万5984円(13年度)で、決して高くない。「今の高齢者は若者と同様に、将来の不安を抱えている」と大西常務。年金も十分にもらえない中で、生きがいより、生活費を求め働く方を選ぶ傾向にあるという。

常用勤務希望

福井労働局によると、13年度の65歳以上の有効求職者数は8567人で、03年度比2.17倍。シルバーの会員数とほぼ同数だ。「常用で働きたいという高齢者が増えている」(同局)ことを裏付けている。

企業側にとっては高齢者が戦力になっている場合も多い。県内のある飲食・サービス業経営者は「高齢者は若者に比べ真面目。人手不足を解消する存在」。旅館経営者は「遅刻をしないなど、きっちり時間を守る」と評価する。

県内の高齢化率は26.9%(13年10月現在)で、全国平均を1.8ポイント上回る。ただ、65~74歳で要介護認定を受けていない「元気な人」の割合は96.7%に上る。福井県立大地域経済研究所の南保勝教授は「高齢者は技術やノウハウを持っており、ものづくりでは海外に渡り技術指導を行っているケースもある。高齢化社会をネガティブにとらえず、多様な受け皿をつくることが、社会の活性化に不可欠」と提言する。

提供:http://www.fukuishimbun.co.jp/

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